夏の果て

今年は涼しい日が続いているというのに

夏バテしないようにねと

友より便りが届いた

遠さ優しさありがたく

ところがこちらの空を見上げても雲ばかりだ

 

あの夏は酷く暑かった

空に青と入道雲の白

耳障りな蝉時雨の中

手は汗ばんで

繋ぐとそれだけで

DNAを交換している

熱と安堵の悦びがあった

 

それからずっと今でも蝉が嫌いだ

この冷夏では

きっと彼の声も少ないだろうと思い

とてもみすぼらしいわたしだ

あの人たちはどこか遠くのいつかの夏

とてもみすぼらしいわたしだ