死亡

朝ごはんを食べられなくなったのはいつからだろうか
あたりまえに朝ごはんを食べることは
とてもしあわせなんだとあの人たちは知っているだろうか

夜眠れなくなったのはいつからだろうか
世界から目を背けてでも
知らん顔をして眠れるほうがしあわせなんだろうか

運が悪かった
事故にあった
わたしだけじゃない
いつか、きっと

通り過ぎていく慰めのことばも
わたしには刃だ
ずっと信じてきたあの人たちのことば
ずっと救われてきたあの人たちのことば
そのことば自体がすべて嘘だと知ったとき
自我が崩れていく恐ろしさに毎秒対峙せざるを得なくなった
疑いつづけることが切り刻んだ

世界も、わたしも、このことばも、ぜんぶ嘘だ
わたしは欠片もなく、わたしはもうしんでしまった
手遅れだったとせめて毎日花を手向けてほしい、あなたの無自覚な悪がわたしを殺したと知ってほしい
かならず救われないいのちもどうしてもある

わたしもきっとだれかを殺して生きた