2018-01-01から1年間の記事一覧

2018年

恐ろしい日々だった 越えた果てになにかありますか、おとうさん の声がききたい、ただごめんなさい

おそいわたし

いま書いているエッセイを読んではニコニコしている。こんなに長い文章を書くのは久しぶりだ。 まだ不確かだ。だが、わたしの今のすべて顕せたすばらしい文章になっている。 なんどかよんでみても、自分で震えている。 右肩さんや花緒さんの言葉がわたしの中…

クリスマス

街はメリークリスマスで、そのような行事を心から楽しめる精神が羨ましい。わたしはクリスマスの浮かれ具合がきらいだし、恋人同士のプレゼント交換とか聞いただけでも頭がいたい。それでもチキンやケーキはおいしいから敵わないというこの煩悩よ。 自分の写…

わたしパンをたべる

しずかなこの場所でじぶんだけと詩をかくのがすきだ。うるさいと頭がにごる。だいきらいだ。 さいきんこのしずかなブログにスターがつくようになって、しらない人が見ている。わたしいきています。パンを食べています。

ろくでなしにも春が来る

これでもかと言う 南天だらけだ 嫌だった わたしはすべてを忘れてしまう 軒下の大根は年の終りに首吊りをする ろくでなしにも春が来る

人の形

その場所には死んだかみさまがまだ住んでいるから わたしは帽子をふかくかぶって 世の中に怒られないように静かに隠れてやってきて かみさまのことを考えたりしています 聞きたいことがあります 天国はたのしいですか わたしは赦されますか クリスマスには会…

月はひとつ

今日の月はきれいだね。と、飽きず交わした言葉でした。あなたの学の無さが、わたしは大嫌いだった。失ったあとにその意味を知らされました。 昨日は満月でした。ただそれだけの小さな命の分かち合いが、あらがえずに風に散って、夜の空気にはあなたが住んで…

存在の墓標

息をする連続に いつから慣れていたのだろう 夕焼けが 必ず朝焼けになるのは ここが地獄だからか 火葬場で焼かれたら 人でなくなる あらゆる差別や偏見から放たれるから ようやくホッとする おまえら誰一人のしらないところで わたしの父は死にました 葬式は…

わすれ形見

あろうことか忘れてしまった 声も形も温度も あたまの隅にはほんの少し なんだか無様なことばかり置き去りにされていて お湯がでなかった日のこと 起きたらひとりだったこと おにぎりをうまく握れなかったこと 三つつなぎのプリンのこと ときどき怒鳴りあっ…

未必の故意

墓石に水が流れた、 おとうさんは欄干でクビを吊った、 ぬるいリンゴ水を欲しがった 入道雲はだいきらいだ、 おとうさん、おとうさん 低かった空は、とおくなって彼方だ、 屋根に三角、たわむ電線、 季節変わりの混ざりゼミ、 ひとがみんな、畑に立てられて…

摂氏37℃

わたしの抜け殻が夏の真ん中に取り残された、そのようにつまらない孤独です。 蝉がきらいだと言ったらあの人はやさしい、蹴飛ばして退けてくれたアスファルトの上。そんなことをするものだからわたしは、ただいのちがおそろしい、生き死にを見せつけないでと…

泡(あぶく)

思い出の品もぜんぶすてないとならない海に行ったときになにも買わないでよかったもらった手紙はわたしには知らない宇宙のことばで書いてあるもう二度とよめることはないことばはそれでもまだ美しい形にみえた たった一度乗り遅れただけでもう二度と会えない…

夏のわたしごっこ

いのちがたおれるまで全力ではしろう その先で海に駆け込んでおぼれて死のう 生き死にを一方的にさかのぼり ちいさくなっても夜通し話しを続けよう 原始でもまだ笑おう 太陽がまぶしくてもう痛い ねえ、どうしても限りが在る かなしみもよろこびもただひとつ…

春呼び

めくるめいた 神か、今日は春だったのだ 何十年かまえにあの子は 隣人の幸福を願って消えた いまここで笑っているべつのあの子をみていると 神さまと呼んでしまいたくなる せめて代わりにとあの子の名を呼んだ ぼうっと、日が暮れていく 夕焼けはこんなにも…

いのちが海を呼んだ

砂粒数えてあそぶ 途方もない悪ふざけで生きてきた二人だけの果てしない海は真夜中 誰もいなくなってからようやく命がはじまる砂のトンネルを掘るうちに 世界は失われていく 気が付くと ひとり波の音をきいていた生まれてずうっと欲しかったものは ただの砂…

不揃い

ねこが急にみちにとびだしてくる 今日吹く風は神の住処をしっているようだ 雀が降下して線をえがくのに見惚れた それにしてもなまぬくい春風はちょうどあの人の温度だななんだか気味が悪いあのとき確かに とびこめ、と声があり とびこんだ場所も変哲がなかっ…

春虫

気が触れるときはいつも 生老病死がうす青空を飛翔している わたしはただの春虫 あらがえないいのちも等しく丁寧に並べられて 誰かに数えられている それなのになんだかやけに春の発声が大きく淡く聞こえている このような季節を通っていった

短歌

朝焼けを背にして立ったきみが言うポエムに撃たれ倒れろいきろ

まっしろの焼け野原の春

今月はインターネット投稿サイトにて詩を読む仕事をしなければならないため、120篇の詩に目を通したら詩をかく心が潰れた。一ヶ月で120も詩を読んだらポエジーとかなんとかもぜんぶ失われる。心はもうまっしろの焼け野原だ。ポエジーはこんなものではなかっ…

あの日の空は無数 

バターが溶けないうちにパンを齧る 朝の陽はいつもどうしてあたたかなのか毎日ひとつひとつを数えても ざあざあと零れていった 苦し紛れに仰げば空が 唐突なあの日の光景で あれからひとり ずっと春待ちの哀れ夜苦しさで並べたあなたからの手紙には 「自転も…

神を疑わぬひかり

いのちに何があったのか失われる足跡は確かに存在していたのか 晴れの日の朝の校舎に陽が差していますチャイムの音にも平等ですそれがあなたのようなものでした毎日おなじ単調でした 猫が塀からとびおりてあるくのですうしろ姿にあなたをみていましたバスの…

酸欠

足音は小さすぎてきこえない ピンク色の列車が走り出して 無表情がみんな詰め込まれている この先の行き止まりにもいかれないわたしは 「だれか」と その発声の仕方もとっくに忘れていた月を見ても何もおもえず だってこの公転もうたがわしい どうして大地に…

空を知っていた

「精一杯やったけど 君のために 何かなっただろうか」ようやく封をあけた手紙には 丁寧にちいさく書いてあって 17年ぶりに呼吸一つできた 窓からは夕焼けのグラデーションが見えた血肉を越したそれからの生活は 多くて何も持てなかった だいじなものは身体の…

還る

なにもなく誰もいない だから 海によばれてしまったざわめく甲高く 波が叫ぶ声をききながら 幼稚園のころから泣いてばかりいたことを 思い出した はるか彼方 海の遠くで何かが静かに痛んでいた幾つかの海を数え終えたら すこしだけ清々しくなって ああなんだ…

冬めぐり

一瞬の高揚に 冬の血が沸いたのですわたしの足音を幾つ数えても 辿り着けなかった場所には 温度 生きているにおい 欲しかったものすべて 寒空の彼方にあるから まいにち大事に眺めているうちに ようやく季節が諦めていくのです 赦されて 花が咲いて 微笑むし…

青空に傷む

ひとが青空で傷んでいきます絶望までのあと僅かな熟成 ただ一直線に祈りながら 瞬きをする隙なく 目が乾いてしまいました鳥が一羽飛翔 その小さな力でさえ 電線が撓んで世界が揺らいでいきます わたしが傷んでいきます 知りもせず ぴいぴい啼いています まだ…