春呼び

めくるめいた

神か、今日は春だったのだ

何十年かまえにあの子は

隣人の幸福を願って消えた

いまここで笑っているべつのあの子をみていると

神さまと呼んでしまいたくなる

せめて代わりにとあの子の名を呼んだ

ぼうっと、日が暮れていく

夕焼けはこんなにもやわらかく

世界は眼前にいつも広く連なっている

一瞥して

もういっそねむる