あの日の空は無数 

バターが溶けないうちにパンを齧る
朝の陽はいつもどうしてあたたかなのか

毎日ひとつひとつを数えても
ざあざあと零れていった
苦し紛れに仰げば空が
唐突なあの日の光景で
あれからひとり
ずっと春待ちの哀れ

夜苦しさで並べたあなたからの手紙には
「自転も公転もうそだ」
と書いてあったから
それだけを信じてきたのに
日々が重なるに連れて
なにが間違っていたのかを知った

それなのに確かに
あの日のふたりの空は
幾つ越えても失われなかった
だからどうにかひとり
死ぬばかりでもあるがままを行く